鉄道用クッション材新基準への道 後編 ~世界へはばたくブレスエアー~

『クイズ100人に聞きました』

首都圏在住の方100人にお聞きします。「ブレスエアーをご体験したことがありますか?」

ブレスエアー

恐らく90%以上が、「ブレスエアー自体を知らない」と答え、10%弱の人が「体験なし」と回答し、1%未満の人が「寝具で体験したことがある」と、いう感じではないでしょうか? 認知度含め、まだまだこれからの素材です。但し、ブレスエアーの使用を認識していることと、実際に使用経験があることとは、別物です。

現在は首都圏を走る新型鉄道車両を中心に、急激にブレスエアーの採用が伸びています。今や都内で生活していて、ブレスエアー素材が使用されていない電車だけで、都内を移動するのが難しくなっています。あなたも知らぬ間に、ブレスエアー体験者になっている可能性が高いのです。

但し、それまでの道は、決して平坦ではありませんでした。前編でお伝えした通り、2000年以降に鉄道座席用クッション材として主流になっているポリエステル綿(硬綿)には、乗り心地と耐久性の課題がありました。その弱点を補完する素材として、ブレスエアーは早くから着目されていました。一方、保守的な文化が残る鉄道業界では、新素材であるブレスエアーには採用実績が殆どないことから、思い切って採用に踏み切る大手鉄道会社様はなかなか現れません。

新型新幹線

そんな膠着状態が続くなか、鉄道座席業界においてブレスエアーの大ブレイクを呼び起こしたのが、2007年より営業を開始した新型新幹線N700への正式採用。

鉄道業界のトップに君臨するその会社様では、その会社の威信に賭け、技術の粋を集めた新型新幹線N700に仕上げました。時速300キロの超高速でも安定した快適な空間を乗客に提供するため、座席にも従来にはなかった様々な技術革新を織り込みました。そして、その一つがブレスエアーを含む特殊3層構造。

アウトバーンで鍛えられた高級車ベンツ、高級オフィスチェア、そして新型新幹線N700の座席に共通するモノ。それは、長時間座っていても疲れにくい、程よい硬さの座面硬度。特にベンツや新幹線は、高速走行時に路面から受ける衝撃は相当なレベルとなります。その激しい衝撃を吸収する緩衝材として、ベンツではヤシの実繊維の板材が、そして新型新幹線N700にはブレスエアーが入っています。

N700の座席に新しく採用された、「ウレタンクッション(上層)」「樹脂バネ(ブレスエアー)」「金属バネ」の3層構造。従来の新幹線に比べ、乗り心地が格段によくなったと、新幹線をよく利用する常連客からの評価が非常に高くなっています。路面からの衝撃を受け止め、座面からの荷重も樹脂バネの作用でしっかり保持。乗り心地に対する高い評価に、ブレスエアーが大きく貢献しているようです。

ウレタン素材から硬綿素材への移行が急激に進んだ、通勤車両向け座席。一方、上述通り、硬綿には耐久性と乗り心地の問題が残っておりました。そこで登場したのがブレスエアー。N700への採用という華々しい実績を残しましたので、他の鉄道会社様も実績面で躊躇する必要は、もはやありません。

コストと加工の容易度から、上面には硬綿の加工品を使用。そして、乗り心地と耐久性を担う役割として、ブレスエアーを下面に使用する複合タイプ。それぞれの強みを最大限活かし、弱みを補完した「ブレスエア&硬綿」複合クッション材が、通勤車両向けにおけるここ最近の主流です。(ブレスエアーも硬綿と同じポリエステル系ですので、環境面と安全面で優れます)

「快適性」「耐久性」「安全性」「環境性」をすべて網羅した、革新的新素材ブレスエアー。この21世紀型新素材は世界の鉄道業界でも注目を浴び、東洋紡様へは世界中の鉄道関連の会社から、沢山の問い合わせが届いているようです。

日本市場における、鉄道用クッション材の新基準となりつつあるブレスエアー。世界制覇もいよいよ視野に入ってきました。

鉄道用クッション材新基準への道 前編 ~ウレタンから硬綿へ~

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鉄道用クッション材新基準への道 前編 ~ウレタンから硬綿へ~

『クイズ、100人に聞きました』

成人男女100人にお聞きします。「首都圏を走る電車の座席用クッション材として、新型車両向けに今一番使用されているクッション素材は?」

新型新幹線N700グリーン車

一般の方には見当もつかない質問だと思います。恐らく、5~6割が「ウレタン」と答え、3~4割が「わからない」とし、1%くらいの鉄ちゃんが正解を知っているというところではないでしょうか?

そして正解は、ポリエステル硬綿(硬綿)とブレスエアーの複合品です。

大量生産に向いており、価格が安価なウレタンが、14~5年前までは鉄道座席用クッション材の主流でした。一方、ウレタンはリサイクル面で問題があり、環境対応に大きな課題を残す素材です。90年代は今ほど環境対応が厳しく問われておりませんでしたが、徐々に環境対応素材への移行がが始まっていました。

そして、その流れを決定付けたのが、10年ほど前に発生した、韓国での地下鉄火災。その事故で多くの方が亡くなられたので、覚えている方も多いでしょう。実はこの火災で多くの犠牲者が出た主因の一つが、座席のウレタンが燃えて発生した有毒ガス(シアンガス)によるものと言われています。

鉄道は民営会社による経営とはいえ、公共性が非常に高いので、環境面と安全面では細心の注意を払う必要があります。この事故を契機に、日本の地下鉄に使用されている車両及び大都市圏の通勤車両用座席に使用する素材が、一気にウレタンから硬綿へと移行しました。

コスト面と乗り心地ではウレタンが勝るものの、環境面と安全面では大きく優れる硬綿が、通勤電車用座席素材としての新基準です。特に、地下鉄や地下鉄への乗り入れがある大都市圏の通勤車両では、安全面からウレタンを座席用に使用することが殆どなくなりました。(注釈:特急車両では乗り心地の問題から、ウレタンから硬綿への移行は殆ど進んでおりません。)

一方、ポリエステル綿(硬綿)単体の座席には、ウレタン座席では問題視されていなかった課題が新たに出てきました。乗り心地と耐久性の問題です。ポリエステル綿(硬綿)という用語は、一般の方には余り馴染みがないと思います。昔ながらの敷布団や座布団の中芯に使用されているのが、ポリエステル綿です。最初はふかふかしていた敷布団が、しばらくするとペチャンコになり、俗に言う「せんべい布団」になったご経験をお持ちの方もおられるでしょう。ポリエステル綿のクッション材は、「ヘタリやすい」という弱点があるのです。

大都市圏の鉄道座席をイメージして頂いたらお分かりになると思いますが、早朝から深夜まで一年365日、不特定多数の乗客が常時座席に座っています。一日8時間勤務の寝具やオフィスチェア用芯材と違い、毎日20時間の過酷な勤務体系。土日もバケーションもない、高度成長期のモーレツサラリーマン並みの働きぶりです。そんな環境でも、数年でヘタってしまう訳にはいきません。

そんな過酷な労働環境下、素材性質上ヘタリやすいポリエステル綿の耐久性を高めるにはどうすればよいか?それには、クッション性(=乗り心地)を犠牲にし、綿の硬度を高めることで、耐久性を持たせるしかありません。従来のポリエステル綿に比べ、クッション性と耐久性を同時に高めた綿の開発も進んだものの、綿としての限界があります。ウレタンレベルのクッション性と耐久性を両立するには、綿単体では到底成し得ません。かといって、ウレタン主流の昔に戻ることも出来ない中、鉄道座席用素材の過渡期を2000年代中盤に迎えました。

~後編へ続く~

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