車内教育システム

今日(4月6日)も人身事故で、電車は大幅に遅延。月に1~2回はダイヤの乱れに遭遇するので、慣れっこにはなっているものの、その場に居合わせるとやはりイライラします。

私が通勤に利用しているのは、JR琵琶湖線という路線。この路線は、米原―姫路間を中心に、200km以上の距離を多くの電車が往復しています。しかも、途中京阪神の心臓部を通過するため、京都―三宮間の朝夕は過密ダイヤで運行中。この200km区間のどこかで問題が発生すれば、全区間のダイヤに影響が出てしまいます。

そのような路線に月3~40回乗車している中、私の電車に遅延が発生するのは月平均1~2回なので、20回に一回の発生率。遅延時間の平均は4~5分程度といったところでしょうか?

この遅延レベルをどう評価するか?人口の少ない地方でこの遅延度でしたら問題ありでしょうが、京阪神地区であることを考慮すれば、素晴らしいと思います。

以前東京に住んでいた際、電車の遅れで悪名高き(?)、中央線で通勤していました。当時は余り深く考えず、頻繁な遅延に相当腹を立てていました。しかし今思えば、あの過密スケジュール、乗降者数、JR他路線との相互影響度等を考えると、「ミラクル」と呼べるほどの神がかり的な成績です。日本の鉄道会社、「あっぱれ!」という感じです。

都市部に住まれている方でしたら、電車が遅れて鉄道会社に腹を立てたご経験は何度かあることと思います。私は鉄道会社の回し者ではありませんが、冷静に考えると、我々の怒りの矛先を彼らに向けるのは、少々気の毒のような…

というのは、遅延が発生するほぼ100%の原因は、鉄道会社には直接的な責がないものばかりです。理由の大半は、「人身事故」「踏切で異常が発生したことによる安全確認」「急病人発生」「乗客間のトラブル(喧嘩等)」「雪や大雨等の天候不良」。彼らがそれらの理由を未然に防ぐには、限界があります。

遅延自体も世界基準でいえば圧倒的に少ないですが、更に日本の鉄道が凄いのは、遅延発生後のリスクマネージメントとダイヤ回復スピード。例えば、朝の新宿駅で電車が10分遅れれば、ホームに人が溢れかえり、大変危険な状態になります。例えば過密スケジュールの中、ある電車に問題が発生し、その電車が数分遅れれば、後続電車への影響は玉突き的に増幅されていきます。想定されるあらゆるトラブルへの対応ノウハウが蓄積され、組織的に迅速に処理する、その特出したリスク管理能力は、大いに賞賛されるべきものでしょう。(各駅ホームの設計、ダイヤ編成には、全てリスク管理項目が織り込まれているようです。)

日本の電車が定刻通り動く理由は、上述した鉄道会社の緻密な計算とリスク管理能力に負うところが高いと思います。そして、その成果の陰には、実は意外にも我々乗客の貢献度も高いのでは、と個人的には思っています。

日本の電車に乗ると、「ここは小学生向けの躾教室か?!」と思うほど、ポスターで、ホームアナウンスで、そして車内アナウンスで、しつこく私たち乗客を教育しようとしています。「黄色い線の内側で、2列になって並べ」「降りる人を先に下せ」「駆け込み乗車は危険だから絶対にするな」「込み合う車内では、ドア付近で立ち止まるな」「車内で携帯電話を使うな」「次はxxx駅。xxx駅の次はxxx駅に停まります」

これら一連のアナウンス。電車に乗るたびにしつこく聞かされ、我々日本人は完全に洗脳(?)されています。そして、これら一連のアナウンス。実は携帯電話の使用(私個人的に、未だにその理由が不可解ですが…)以外は、全てスムーズな乗り降りを実現させるための教育となっているのです。

通勤時間帯の、インド・ムンバイ駅ホーム、中国・上海駅ホーム、そして日本・新宿駅ホームを想像してみてください。どの駅のホームも、到着する電車も、人で溢れています。その中、決定的な違いは、電車が駅に到着してからの乗降者の動き。見知らぬ人たちが集まる無作為集団が、単なる烏合の衆か、或いはあるルールに基づいて組織的に行動するかの違いです。

日本が世界に誇る鉄道運行システム。毎朝何百万人もの人が利用する首都圏鉄道網ですら、遅延が殆ど発生しません。この神憑り的な鉄道インフラですが、仮に首都圏の乗客が全てムンバイのインド人だったらどうなるか?日本のミラクルは、鉄道会社のノウハウと我々乗客マナーの二本立てで成り立っているのです。

そう考えると、電車が数分間遅れることに対し、寛大な気持ちになれるような気がしませんか?

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