Taxi drivers

「自動車」を通じて見た文化比較論第3段は、タクシー比較をしてみたいと思います。皆さまの予想通り、サービス度No.1は、何と言っても日本のタクシー。世界に類を見ない自動開閉ドア、安全運転度、ぼったくり度(遠廻り・不正メーター)から言って、他を寄せ付けません。まあ、日本のタクシー運賃も、恐らく世界トップクラスではありますが。。。   

先進国のタクシー運賃は、日本のタクシー代とさほど大きな差はありません。その中、群を抜いて安いのが、香港とシンガポール。感覚的に、日本の半額以下という感じです。まあ、これは狭い国土事情もあり、住民が自家用車を所有しなくても安価に移動できるための政策の一環で、タクシーのみならず、バスや電車も日本の半額くらいの感覚でした。一方、一般庶民が自動車を所有しないよう、自動車の価格設定はとてつもなく高いです。日産マーチが一台何と600万円!賛否両論ありますが、都心部の交通規制が働き、個人的には良い制度だと思います。 

シンガポールのタクシー代が安い理由の一つとして、タクシーの外観を走る広告塔としている点も見逃せません。両サイドは勿論、屋根の上から、タイヤのホイールまで(走行中もホイールの広告は回転せず、広告の役割をする特殊ホイールもあります!)、「ここまでやるか!」というくらい、徹底しています。  

走る広告塔 (画像はグーグル画像検索よりコピー)

 タクシー運転手は、海外では移民の人が比較的就きやすい職業ということもあり、アメリカや欧州では、外国人ドライバーも結構多かったです。また、ごくごく一部のドライバーですが、乗客情報を犯罪組織に売る悪質ドライバーもいるようです。家族で自宅から空港までスーツケースを積んでいくような場合は要注意。ドライバーに「我が家は旅行で数日間留守になりますよ」と言っているようなものなので、迎えを家まで来てもらうのを避ける必要がありました。また、東南アジア等、発展途上国でのタクシーでは、ぼったくりは日常茶飯事。空港や駅で客待ちをするタクシーは特に注意が必要なので、価格が安い半面、結構神経を使います。 

 一方、犯罪の多い地域では、現金を持つタクシードライバーは、犯罪者の格好のターゲット。色々と防御策をタクシードライバーはしているようですが、特に凄かったのが、中国シンセン地区のタクシーです。運転席が鉄格子で囲われ、運転席の裏(後部座席面)には、防犯用の鉄板が装着していました。私が駐在していた2001-2004年当時は、後部座席にシートベルトもない状態。自動車事故に遭った際、本来は一番安全な「運転手の後部座席」が、シンセンのタクシーでは最も危険な場所です。「乗客の安全より、運転手の安全がまず第一」という、非常に分かりやすい(?)タクシー会社の経営ポリシー。まあこれも、それだけタクシー運転手を狙った犯罪が多いということの表れだと思いますが。(下の画像は、グーグル画像検索よりコピー。なお、2005年以降、この鉄格子は急速に取り外されているようです。) 

  

 タクシーに乗れば、その国やその都市の文化をある程度感じることができます。そんなこともあり、タクシードライバーにスポットを当てた、素晴らしい映画もたくさんありました。有名な作品では、マーティン・スコセッシの「タクシー・ドライバー」。当時の病めるアメリカ社会を、狂気なタクシードライバーを通じて描いた秀作です。日本にも、崔洋一氏作品の「月はどっちに出ている」という、日本社会への痛烈な批判を、コメディーというオブラートに包んで仕上げた作品がありました。   

ナイトオンザプラネット

Night On Earth (画像はグーグル画像検索よりコピー)

 そして、何といっても、奇才ジム・ジャームッシュが1991年に制作した「ナイト・オン・ザ・プラネット」。世界5つの都市を舞台に、タクシードライバーと乗客の間で繰り広げられる何気ない人間模様を、オムニバス形式で綴った作品です。日常生活のひとコマを映画にしたような内容なので、涙もドキドキも感動もありません。そんなシンプルな場面設定ですので、ジム・ジャームッシュの真骨頂が大いに発揮された作品に仕上がっています。各短編とも、各都市のエッセンスを上手く凝縮した、味わい深いストーリー展開。その中、私が一番好きなのが、ニューヨーク編。そのストーリーを思い起こすだけで、思わず笑みがこぼれてきます。  未観の方は、ぜひcheck it out! 

『ナイト・オン・ザ・プラネット』という映画には意義や意味などない。モラルもなければ教訓もない。何かあるとすれば、この、地球というプラネットの、日常のささやかなディテールに、時折見いだされることのある、偶然のような美しいものがあるだけだ -ジム・ジャームッシュー  

 

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